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中国、バングラディッシュから日本の高知へ 国際就職を促すSHIFT PLUSの多様性
高知県

中国、バングラディッシュから日本の高知へ 国際就職を促すSHIFT PLUSの多様性
株式会社SHIFT PLUS

高知県高知市の中心地、高知駅から徒歩5分に位置する株式会社SHIFT PLUSのオフィスには、PCに向かうおよそ100名の若者の姿がある。SHIFT PLUSは、高知県が推進するIT・コンテンツ産業集積計画の一環である企業誘致施策を活用し、東京に本社を置くIT企業 株式会社SHIFTと株式会社オルトプラスが設立した合弁会社だ(現在は株式会社SHIFTの100%子会社)。基幹事業は、ソーシャルゲーム開発会社を顧客とするゲームの品質保証(テスト業務)とカスタマーサポート。これをキャッシュエンジンに、行政と情報交換をしながら地域の課題を抽出し、地域の課題をITの力で解決する新規事業も次々に展開している。地域スタートアップを働く場に選んだ若者の中には、中国やバングラディッシュから国際就職をした外国人の姿もあれば、高知を離れて暮らしたことがない地元就職のメンバーもいる。高知という地方で働く、それぞれの思いや考えに迫った。

記事のポイント

  • 奥さんの出身地である高知に移住しSHIFT PLUSに入社した中国出身の張若宸さん
  • フリーランスエンジニアから転身したバングラディッシュ出身のアシフさん
  • 高知へUターンした元アパレル店員の正木茂一さん
  • 高知限定でゲームに関われる仕事を探していた長谷川万記さん

海外から高知へ

中国出身の張若宸(ちょうじゃくしん)さんとIftekhar Idris Asif(イフテカール イドリス アシフ)さんは、ともに20代後半の若手エンジニアだ。張さんは大阪の会社でスマホアプリの開発を手がけ、アシフさんはバングラディッシュでフリーランスエンジニアとして、それぞれ働いていた。2人はどのような経緯で、日本の高知を働き暮らす場に選んだのだろうか。

「わたしは結婚したばかりなのですが、妻が高知出身なので一緒に高知に戻ってきました。」SHIFT PLUSではY(嫁)ターンと呼ばれる現象。高知の女性は、夫を連れて戻ってくる郷土愛の強い人が多いようだ。

張若宸(ちょうじゃくしん)さん

一方のアシフさんは、JICAのプログラムを利用してSHIFT PLUSと出会った。会社側がB-JET(Bangladesh-Japan ICT Engineer’s Training Program)を活用してバングラディッシュ国内で働く優秀なICT技術者の獲得を意図した。地方で優秀なエンジニアを採用しにくい現状を打破するために、人材が豊富なバングラディッシュに出向いて合同会社説明会を決行。面接を通過してジョインしたのがアシフさんというわけだ。

アシフさんは、B-JETに参加した理由、SHIFT PLUSに興味を持った理由を次のように話す。

「バングラディッシュでは、フリーランスは雇われるより稼げるけれど、プロフェッショナル扱いされません。家族からは、外国へ行って勉強してキャリアを積んで来なさいというプレッシャーがありました。それでキャリアをスタートさせるのにいい国を探して、日本とシンガポールを希望しました。日本は、英語を話せる人を見つけるのが難しいという問題があるけれど、それ以外は歴史や文化の質が高くてすべてが特別。日本が一番いいと思っていました。SHIFT PLUSは、チームがとても若くてアンビシャスな印象を受けたことと、AIを扱えるチャンスがあるという理由で決めました。」

Iftekhar Idris Asif(イフテカール イドリス アシフ)さん

これからの2、30年で、AIが技術発展のメインストリームになると考えているアシフさん。10年は日本で修行をし、その間にSHIFT PLUSのAIエンジンをつくりたいと向上心を燃やす。英語圏各国からの仕事をこなしてきたことで、すでに英語は身についている。10年経つ頃には、英語、日本語、バングラディシュ語の3ヶ国語を操るAIエンジニアが高知で活躍することになる。

張さんも、SHIT PLUSの会社としての若さや勇敢さ、地方企業ならではのやりがいに惹かれている。

「大阪では、ゲーム関連の企業に3年間勤めていました。そこで得た知識やノウハウを活かしたいと思っていたので、そこがまず、マッチしました。さらに、僕が応募しようと思った時期に、ちょうど新規事業部がwebエンジニアの募集をしていた。次のステップは、webエンジニアとしての仕事にチャレンジしたいなと思っていたので、ぴったりだったんです。入社してみると、『何を事業にするか』から一緒に始められて、自由度が高くて、すごくやりがいを感じます。」

「『高知の課題を解決する』というビジョンのもと、県庁と強く連携して仕事ができるのは地方ならではじゃないかと思います。本当に困ってる人と本当にそれを解決したいと思う人が、みんなで一緒につくろうという意識がある。その一体感がすごくいいです。」 また、若き中国人エンジニアは「高知がこんなふうになったらいい」というビジョンを描く。

「高知は自然に囲まれているところがすごくよくて、高層ビルに人があふれていて出勤でストレスがたまる都会のようにならないでほしい。表は変わらずにのどかなままで、裏ではすごい技術が動いてる街になるというのが、未来像じゃないかと思います。人口減少や高齢化の先進県として、例えば農家さんが1人でもロボットやAIを使って気楽に農業ができるとか、技術で課題が解決するイメージをつくりたい。」

「社員の多様なバックグラウンドが会社としての強みになる」という採用戦略が、今後10年でどのように開花するのか楽しみだ。

高知でゲームに携わる仕事ができるなんて!

地元で仕事を探したらSHIFT PLUSにめぐり合ったメンバーもいる。正木茂一さんと長谷川万記さんだ。お二人に共通するのは、「高知にこんな会社があるなんて!」と入社の時点でSHIFT PLUSに希少価値を感じた点だ。2人とも、地元のテレビや新聞でSHIFT PLUSの存在を知った。

正木さんは、立ち上げ期に大量採用された1人だった。岡山でアパレルの販売に従事した後、高知に戻ってふらふらしていたという正木さん。転職活動を始めたタイミングでSHIFT PLUSを知り、翌日すぐにハローワークに行ったところ、30人の採用枠に対してすでに20数人が応募していたという。

「高知にも求人サイトはあるんですけど新卒がメインで。転職となると、ハローワークしか情報源がない。ハローワークの求人は、選択肢が福祉かスーパーマーケットがほとんど。僕はあまり気が進まなかったので、SHIFT PLUSが高知に来てくれてすごくラッキーだと思っています。」

正木茂一さん

一方の長谷川さんは筋金入りのゲーマーだ。

「わたしは一人っ子で、親がどうしても高知を離れて欲しくない、と。他の場所にいればゲームの仕事があるけれど、高知では無理と思っていました。地元を離れずに大好きなゲームに携わる仕事ができるなんて夢みたい。」と話す。

長谷川万記さん(写真右)

正木さんはアパレル、長谷川さんはECショップの運営と、2人とも異分野からの転職だが、働く上で差し障りはないのだろうか。

「未経験のことだらけで大変です。調べたり、これで正しいのかな?と思いながら、失敗もしながらですが、できなかったことが一個ずつできるようになっていくことが楽しい。マインドが変わりました。今までは、職場で『こういう仕事あるけどやる?』って言われても『いやちょっとあれなんで』って引っ込み思案だったんですけど、今は『新しいこと入って来たら全部僕にやらせてください』っていう気持ちです。」

「会社の中では、自分の頭で考えて動けるとか、指示待ちではなく自分から周りにプラスの影響を与える人が評価されます。会社が求めている人物像って明確なものもあるので、そこに近づけるように努力中という感じ。そのおかげで、『失敗しても死なないし』って思えるようになった。できなくてもまわりがフォローしてくれるし、できなかったら次どうすればいいんだろうって、みんなで考えてやっていくので。一人に責任を負わせるっていう雰囲気でも全然ないので、チャレンジできる環境がすごい整ってると思います。」(正木さん)

「周りの人に支えられながら仕事をしています。だから、周りの人の視点を吸収して、自分のものにしようと意識しています。それが結果的に、自分の周りの人にとっていい影響になったらいいなと思います。ものすごく難しいですけども。本当にひとりひとり、性別も年齢もこれまでのキャリアも国籍も、全然違う方がたくさん集まっている会社なので、それぞれに、その人にしかない視点がある。それをたくさん吸収しています。」(長谷川さん)

また、正木さん、長谷川さんともに、SHIFT PLUSという会社での、自分の未来をはっきりと描いている。

「わたしは、いちテスターとして、ゲームのライトユーザーとヘビーユーザー、両方にとって不具合のない状態をつくることに注力していきたいです。会社に入ったばかりのころ、SHIFT PLUSが関わっているソーシャルゲームアプリを見させてもらったら、自分がユーザーとしてプレイしているゲームだったんです。すごく感動して、そこから、会社の外で自分が関わるアプリをやってる方とか見かけたりすると嬉しい気持ちになります。バグをゼロにして、ゲームのクオリティを上げることに誇りを感じています。」(長谷川さん)

「カスタマーサポートという仕事を、マーケティングに発展させていきたいと思い描いています。ソーシャルゲームが出せば儲かった時代は、カスタマーサポートってそんなに重要視されてなくて、守りのためのコスト部門だった。最近は時流が変わって、ユーザーの囲い込みがすごい大事になってきています。カスタマーサポートを、アプリのストアでのユーザー評価につなげることもできます。そのあたりの価値を提供するサービスを今、つくっています。なので、直近の目標としてマーケティングの知識やスキルを伸ばしたい。将来的には、この会社をもっと大きくして、高知から人が抜けていかず定着できるような、SHIFT PLUSだからこういうことが可能になったって言われるような会社になっていくといいなって思います。」(正木さん)

国際就職をした張さん、アシフさん、地元就職をした正木さん、長谷川さん。4人とも、SHIFT PLUSの進取的で主体性を重んじる文化に適応し、生き生きと成長している様子が印象的だった。1社のローカルベンチャーの登場によって、それぞれにのびしろを持つ若者の力が引き出されていく。会社にとっては、若者にとって魅力ある仕事が少ない地方だからこそ、希少性を獲得し、素質のある若者を採用しやすいメリットを享受できたとも言える。

地方起業の強みと、地域に風穴を開けるインパクトの大きさ。SHIFT PLUSは高知の地で、その両方を体現している。

●株式会社SHIFT PLUS 概要

取材・文:浅倉彩

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