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地域文化をビジネスとして花咲かせる。 「うなぎの寝床」で見つけた地域文化ベンチャーの肝。
福岡県

地域文化をビジネスとして花咲かせる。
「うなぎの寝床」で見つけた地域文化ベンチャーの肝。
株式会社うなぎの寝床

伝統工芸品であり、日本三大*絣(かすり)にも数えられる久留米絣(くるめがすり)。最盛期には300軒あった久留米絣の織元も、現在では23軒程度。衰退は目に見えていた。しかし、下降線を辿る一方であるはずの伝統工芸産業に異変が起きつつある。その中心にあるのは2012年立ち上げ(2015年に株式会社化)の「うなぎの寝床」。久留米絣で作ったもんぺの製造販売が主な事業だ。その粗利は実に57%。地域の伝統産業をビジネスとして花咲かせ、継続的な文化継承につなげるうなぎの寝床のその仕組みをきいた。
*絣とは、織物の一種で、前もって染め分けた糸をたて糸かよこ糸、あるいはその両方に使って織りあげることで文様を表す技法により織られた織物を指す。 久留米絣は久留米地方の絣のこと。

株式会社うなぎの寝床

九州の筑後地方に拠点をおき、その地域の魅力的な「ものづくり」をアンテナショップや通販を通して発信する異色のベンチャー。立ち上げ期にプロデュースした現代風久留米絣もんぺは大きなヒットとなり、東京や大阪など全国で販売される。外部から資金調達をせず、売上高は年1.3~1.5倍のペースで安定成長を継続する。2017年は12月決算で年間1億7,500万円程度の売上を見込む。(10月時点)

潜在的情報も顕在化させる

福岡空港から電車とタクシーを乗り継ぎ、およそ1時間半。福岡県の内陸部にある八女(やめ)地区に到着する。この八女地区は、江戸時代中期に地元の商人が米の余剰益を当時の文明の最先端であった伝統工芸に注ぎ込み、地域的に醸成させたという歴史をもつ。伝統工芸において九州最大の集積産地である。タクシーから降り立つと、閑散としていながらもどことなく往時の賑わいの雰囲気が感じられる。その中に佇むのが、「うなぎの寝床」。株式会社うなぎの寝床が運営するアンテナショップだ。

アンテナショップ

筑後地方の魅力的な「もの」が約70件展示・販売されている

このアンテナショップでは筑後地方を中心とした魅力的なものづくりを展示・販売している。ポイントは「地元で」販売すること。うなぎの寝床の代表取締役・白水高広(しらみず たかひろ)さんは語る。

「東京や大阪へ販路開拓できて色々なところで地域のものづくりを扱ってもらえるようになった一方で、それらをまとめて見られるショールームが必要なのではという考えで作った。地域にある潜在的情報を顕在化させて外に伝える機能が地域にあれば、という都市計画的な考えがスタート。」
素材の特徴や製造工程、つくりての思いといった潜在的な情報も顕在化させることで、商品の「つくりて」と「使いて」を繋ぐ役割を果たす。

このアンテナショップの売上は全体の20%程度。では残りの80%はどこからやってきているのか。

バランスの良い売上げ

売上比率

2017年事業別売上比率(12月決算、10月時点)

うなぎの寝床の売上の内訳は上の円グラフが示すとおりだ。

卸しは、主にもんぺを始めとしたうなぎの寝床の自社製品を、全国の卸先に卸す事業だ。卸先は東京・関西を中心として全国約70店舗ある。

店舗は前段で述べたアンテナショップでの売上。

イベントは、社員10人程度のうなぎの寝床で効率よく売上を伸ばすための肝ともいえる事業である。東京や博多で開催されたもんぺ博覧会など、全国で行われるイベントへ、在庫の商品を貸出し、小売りを依頼する。小売りをうなぎの寝床自ら行う必要がないためスタートアップ向きのモデルだといえよう。

通販は、うなぎの寝床が運営するWebサイトでの販売事業のことだ。
>通販サイト

これら4つの事業でバランス良く売り上げているのもうなぎの寝床の特徴の一つだといえる。そしてこれら全てにおいて共通する主力商品が久留米絣もんぺだ。

もんぺのヒットの裏側

梱包箱

センスあふれる梱包箱

うなぎの寝床が立ち上がった2012年以前、織元により余り布を使って細々と製造されていたのがもんぺであった。その当時の販売価格は製造原価とほぼ変わらない価格。余り布の消化が主目的で、利益はほぼ出ていなかった。

そのもんぺに着目したのが、白水さん。八女地区の地域物産展を訪れた際、もんぺの着心地の良さを実感。現代でも需要が存在すると考えた。

絣(かすり)は絞った糸を染め、それをほどいて独自の柄を織りなす、製造工程に特徴をもつ工芸品である。独特な製造工程によって生み出される特徴的な柄・風合いが最大の特徴といえる。

しかし、白水氏はもんぺの生地として無地の布を優先して採用。あくまで売り込むポイントを着心地といった機能性に絞りこみ、見た目は多くの人が抵抗を感じないシンプルなデザインを心掛けた。これにより、現代の嗜好に合ったもんぺになるとともに、製造にかかる手間とコストが大きく削減された。

そして鍵となる価格設定。当時の価格の3倍にもなるような、10,000~15,000円に設定した。「高級ファッションブランドのユーザーは安いと感じ買ってくれる。それに対し、普段2,000~3,000円の服を買っているような層は、伝統工芸や着心地といった付加価値を考慮して高くても買ってくれる。」

顧客の心理を考えて価格設定した。買うのは顧客。今までの販売者目線での価格設定から、顧客目線の適正な価格設定へと白水さんは変えたのである。

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