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【コラム】私達が「地域と共創するふるさと納税」を始めたワケ。〜その本質は”何を出すか”から”どうやるか”へ〜

2019/02/06

昨年、何かと話題になったふるさと納税ですが、おそらくその規模は一昨年度の3,650億円よりさらに伸びたのではないかと思います。返礼品率や内容の厳格化が2019年6月以後ということで、特に昨年末は”最後の猶予”期間内。いわゆる「駆け込み需要」を巻き取った自治体もかなりあったようでした。また昨年は自然災害も多く、返礼品無しの純粋な支援も相当多かったのではないかと推察できます。巷の噂では今年度は5,000億円を超えるのではないかという声も聞こえてきました。

いずれにしても2019年6月からは、改めて一定の明確なルールのもとに、より”健全化”した制度として再スタートすることになります。(参考情報;SankeiBizより

ふるさと納税の「運用」は一大事業

新たなルール下では、改めてどんな返礼品を用意するかや、PR施策をどうすべきかなど、様々な工夫が必要になってくるのですが、実はもう一つ大切なポイントがあります。

それは、各自治体が「どういう体制でこの事業を運用するか」という点です。

少し前に話題になっていたので、ご存知の方も多いと思いますが、多くの自治体は、ふるさと納税の「運用業務」を、外部の民間事業者に委託しています。それは「ふるさとチョイス」や「楽天」「さとふる」などのことかと思う人も多いかもしれませんが、それらは「ふるさと納税ポータルサイト」という位置づけのもので、”納税”する人がアクセスして関連情報を閲覧し、返礼品を選ぶ場所(ホームページ)として確立しています。このポータルサイトは、自治体としては利用しないわけにはいきません。(※自前のホームページを作っている地域も多いですが、あくまで情報発信の一貫で、そこから納税される金額は一般的には微々たるものです。)それとは別に、一般の通販サイトと同じように、いわゆる受注処理や、納付書類等の事務手続き、商品開発や、掲載情報の企画・取材・撮影、各種ポータルへの掲載、ユーザーの分析や改善施策の立案など、様々な「運用業務」が発生します。これはもちろん、一定以上の専門性も求められ、何千、何万という申し込みになることもあるため、とても自治体担当者が「片手間」にできる業務ではありません。そのため、一定の委託内容で手数料を定め、専門事業者に委託する場合が多いのです。もちろん、全ての自治体がそうしているわけではなく、中には自治体内に専門チームを組織し、スタッフや担当を直接雇って、一大通販サイト運営部署のような組織体制で頑張っているところもあります。そういう自治体は、やはり相当な成果を得ていたりもしますが、そこまでやれているところは稀だと言えるでしょう。「税金を使ってそんなことまで外注してるのか」というような批判も見かけますが、そういう意見の殆どが、実際にどれほどの業務かを想像できていない人からのものだと思います。

一方で、自治体からの外注先として「ふるさと納税の運営業務事業」を受けている大手の事業者もあります。その殆どは実は在京の大企業です。もちろん、業務のノウハウもあり、しっかりした体制で安心感もあるので、自治体からするとそういう選択肢を取るのは、自然な流れでもあります。

本当に「地元」ではできないのか?

自治体が、その「運用」をそうした外部の大手事業者に委託するのには、もう一つ理由があります。それは、その手の専門性や、ノウハウがある事業者が地元ではなかなか探せないということです。 前述の通り「大規模な通販サイト」を、きちんと回して、しかもより「売れる」ようにする経験やノウハウは、確かに都市部に集中しているように思われます。

しかし、本当にその業務は、地元では「全く」できないのでしょうか?

思い込みを捨てて冷静に考えると、実はそうでもないことがわかってきます。例えば商品の発送依頼や、受注管理、関連書類の手続きなどは、いわゆる「事務作業」です。パソコンでそれ用の業務システムを使うリテラシーさえあれば、もちろん地元の人材でもできるでしょう。商品の魅力を引き出す写真や記事作成は一定以上の経験があったほうがもちろん良いと思いますが、そういうスキルを身に着けたい人材がいれば、チームに入って一緒にやりながら学べる可能性もあります。まして、地域の事業者に商品を出すよう勧誘したり、新しい商品を一緒に考えるのは、むしろ地元の仲間同士でやったほうがうまくいく可能性も大いにあります。これは当然、地元に雇用を生むことにも繋がります。通販サイトの運用経験が地元でも身につけられるのは、実はかなり大きなメリットではないかと思うわけです。

そうした「ふるさと納税運用チーム」を、地元の人材を巻き込みながら作れないか。それが、私達の「地域共創型ふるさと納税運用事業」のそもそもの発想でした。 地元の人材だけで全てをやるのは確かに困難な部分もあるかもしれませんが、各地で地域メディアを運用してきたノウハウと、各地域でライターチームを作ってきた私達のこれまでの経験が活かせるのではないかと考えたのです。

昨年、私達が広島県の大崎上島町で始めたこの事業(参照リリース情報)は、地元の観光協会とタッグを組んで実現しました。地元の皆さんのネットワークを生かし、一丸となって取り組むことで、想像以上に多くの寄付額を集めることができました。また、その成果を聞きつけて、地元の事業者からの新たな参加の意思も増えているとうかがっています。まだ数ヶ月しか経っていませんが、おかげさまで非常にいいスタートを切ることができました。皆さんと一緒に、これを更に大きく発展させていければと考えています。

ふるさと納税制度の「本質」に立ち戻る

そもそも、こういう考えで取り組んでいるのは我々が初めてというわけではありません。中には、地域商社的な事業者や、地域のDMOなどの観光振興に携わる組織が、そのミッションを収益を上げながら行っている地域も、少数派ではありますが、あちこちにあります。
以前、このメディアでご紹介した、ビックゲート社の大関さんは、まさにこの考えを各地に啓蒙し、ふるさと納税の地元運営化を広めている先駆者の一人で、すでに10数カ所でそれを実現しています。大崎上島町の事業でも、大関さんのご協力をいただいて実現しています。

ふるさと納税制度は、ご存知の通り、出身地以外の地域を自由に応援でき、自治体はそれをきっかけに知られていない地域の魅力を伝えることができるという、今までにないユニークな制度として始まりました。もちろん、返礼品のお得感がきっかけになって、ここまでの一大市場になったわけですが、やり方次第で想像以上に効果を得る事ができるようになったとも言えます。その本質をしっかり捉えてうまく使えば、地域の事業者にとっても、大きなメリットが得られることには違いありません。またその寄付は、額面以上に自主財源として使いでのあるもの。まさに一石二鳥、三鳥です。
制度としての賛否はもちろんあるとは思います。ただ極度な過疎化、高齢化に直面し、まさに待ったなしの地方にとっては、この機会を大いに利用したいのは当然だとも思います。

2018年に、事業構想と「さとふる」が共同で行った調査(参考レポート)によると、ふるさと納税がきっかけで、返礼品となっている商品を一般の販売ルートで再購入した経験のある人が約26%、寄付した地域を訪れたことがあると答えた人が約38%と、いずれも非常に高い数字をあげていました。これらは、この制度が地域のPRという本来の目的で一定以上の効果をあげられる可能性があるということを示していると思います。

であるからこそ、なおさら「できることは地元でやる」意義が非常に強いのです。

地域メディアの「マネタイズ」の切り札にも

また、この事業はさらに大きな相乗効果を発揮できる可能性があります。以前に「【コラム】小さな地域や自治体の情報発信力を格段にアップさせる唯一の方法」で書いた「地域情報発信チーム」の運営費用を、この「ふるさと納税運営業務」を兼務することで、捻出できるかもしれないのです。地域の情報発信という意味では、ふるさと納税も地域メディアも、その役割は同じです。取材や撮影、記事の編集業務も重なる部分が多く、同時並行で行えば効率的なのは言うまでもありません。場合によっては体制維持費を上回る寄付額を獲得し、さらなる発信や商品開発などの事業に”投資”できる可能性もでてきます。各地の地域DMOや観光協会などの組織のキーワードは、まさに「自走化」。すなわち収益を上げながら継続的な仕組みにできるかにかかっています。ふるさと納税はあくまで入り口で、それに依存しすぎるのはリスクです。しかし、うまく使えば、非常にいい糸口になるのは確かなのです。

以上、長くなりましたが、こうして深掘りしていくと、「ふるさと納税」の見え方もかなり変わってくるのではないでしょうか?
何度も言うようですが、これは決して、日本初の取り組みではありません。こうしたやり方で意欲的に取り組む地域はいくつも出始めているのです。
どの地域も、本音としては「自分たちでなんとかしたい」と思っています。これは当然のことです。一方で、新しい取り組みやノウハウは、最初から地元だけでというのも簡単ではないのも事実。この矛盾を少しでも解消できる方法が提供できるなら、非常に意義のあることではないかと考えています。機会があれば、こうした取り組みを大いに広げていきたいと考えています。もしご興味のある自治体や関連組織の方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡ください。 地域共創体制をご一緒に創れればと思います!

文:ネイティブ倉重

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