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ジビエ流通サイト”Forema Pro”に見る、日本の山間部の未来にITができること
広島県

ジビエ流通サイト"Forema Pro"に見る、日本の山間部の未来にITができること
株式会社Forema

日本の山里がシカやイノシシなどの野生動物によって荒らされている。農作物の獣害などとよばれる問題だ。地元も決して手をこまねいているわけではなく、狩猟による数の減少を目指している。
だが狩猟後に処理を行って生み出される食肉、つまりジビエは従来、仕入れや購入が決して簡単ではなかった。生産地と消費者をつなぐ仕組みが構築されておらず、情報の非対称性があったのだ。そのため、売るに売れない野生動物はただ「駆除」する対象になってしまい、結果としていまや全国で1年間に80万頭もの野生動物が食材にされることなしに、廃棄されている。

この問題を解決する道を築こうとしているのが、株式会社Forema(フォレマ)の取り組みである。代表の小泉氏にお話を伺った。

記事のポイント

  • 廃棄される野生動物の数を減らしたい!から始まったジビエ流通サイト
  • 山間部の産業にITを活用し、廃棄問題の根源を解決したい

小泉靖宜

広島県にて、Webコンテンツ制作を中心とする合同会社Atelier Ajeを経営する傍ら、ジビエ流通サイト「Forema Pro(フォレマプロ)」および「Forema(フォレマ)」を運営する株式会社Foremaの代表をつとめる。

ITを使えば懸け橋が作れる

日本の山里の問題を小泉氏が知ったのはジビエがメディアに取り上げられ始めた2010年ごろ。店で食べてみた鹿肉のおいしさに目を開かれたと同時に、ジビエをめぐる情報の非対称性に大きな違和感を感じたという。

「生産者に連絡を取ろうと思っても、新聞記事に連絡先が載っていない。ネットで探してもわからない。県庁を通じて自治体の担当者を紹介してもらって、ようやくつながることができました。PRができていないので、買いたくても買えない。こんなこと、ITを使えばずいぶん簡単にできるのに。」

そのため、ジビエに特化した、全国の生産地と消費者を直接つなぐ流通サイトの構築を開始。B to CのForemaを2016年に、そしてB to BのForema Proを2017年4月にリリースした。すでに100社以上のアカウントが開かれ、各レストランのジビエの仕入先の一つとして定着しつつある。また、Forema Proでは生産者側も商品登録などが簡単にできるため、「売りたくても消費者とつながることができず売れない」という生産者側の悩みにもケアがなされている。  

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Forema代表の小泉氏

サービス提供を通じて見えてきた課題もある。それはニーズの拡大と販売先の拡大だ。

「ジビエは高タンパク低カロリー。人工飼料を食べておらず、純度の高い栄養が詰まっています。またジビエを食べることは、まわりまわって山や里を保護することにつながります。そんな食材なのに、自然保護や健康を気にかける潜在顧客に対して業界がアクセスできているとはいえない。Forema ProとForemaの両輪を通じて、販路を拡大すると同時にジビエの食文化を広めていきたいですね。」

Forema Proにおいては、国内のみならず海外への販路も模索しており、商談の中にはすでに現実味が出てきたものもあるという。

同時に、ITをベースとするこの試みに、ITリテラシーの面から悩まされることもある。

「生産者の方がみな必ずしもスマホを使いこなせるわけではない。Foremaのシステムを使っていながら、結果的に電話とFAXで連絡を取り合うこともあります。それでも、廃棄される野生動物の数を減らしたいという直近の目標を考えると、ジビエのマーケット活性化のためのこの試みには意義があるし、そこにITは欠かせません。」


日本の山林にとっていいことを

ITを使ってサービスを提供する企業は大手・ベンチャー問わず無数にあるにも関わらず、ほかにジビエ流通ウェブサイトはなぜ存在しないのだろうか。小泉さんはこう答える。

「このニッチな業界に大手がわざわざ参入してくるメリットはないと思いますよ。だけど、ベンチャーで他に誰も目をつけなかったのは、みんな東京にいて、この事業領域のことを考えたこともないからじゃないかな。」

 株式会社Foremaの本拠地は広島市。県内にも獣害と「駆除」という問題の広がる地域がいくつもあり、それはまた生産地に近いことを意味する。同時に、広島市内にもForema Proのユーザーである飲食店があり、生産者と消費者の現場をともに目にできる。  

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地元愛もさることながら、仲介の場を提供する企業としてだけでは説明できない、生産者や生産地に対する思いのこもった姿勢はそこから生まれるのだろう。

「もちろん、大手通販サイトに商品を掲載して販売している猟師さんもいます。だけど、それだけでは産地である山間部にお金が回る仕組みにならないし、一地域の問題解決にしかつながらない。

猟師さんがとった野生動物を仕方なしに捨てているのは、きちんと食材に仕上げても、単に販路がないから。だったら、全国のジビエ流通の中核となるものを作って、売りたい人と買いたい人をつなげる仕組みができたうえで、狩猟でお金が得られる仕組みが生まれていかないと。そうやって山と里の緩衝地域に人が居続けるようになってこそ、人のにおいに敏感な野生動物たちは里に下りてこないようになる。この長期的な課題に取り組む第一歩としてForemaのサービスがあるんです。」

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多くの獣肉が破棄されている現実がある

確かに、捕獲後に捨てられてしまう野生動物の命を減らすには、そもそも動物と人間の接触を減らすことが必須だ。両者の世界の境目である場所に人が入り、すみわけを行うことは欠かせない。そのためには雇用の創出やグリーン・ツーリズムを通じて、より多くの人が山間部を訪れることが重要だということだ。

同時に、山を豊かにして、山を動物たちにとってより暮らしやすい環境に変えていくことも求められる。例えば、増えすぎた人工林を伐採し、最終的に自然林に戻していく営みがそれにあたる。日本の林業は価格面の苦戦を強いられ、様々な理由から生産性の悪さも指摘されているが、そこにも情報の非対称性の問題が大きく関わっているとのこと。つまり林業にもジビエと同じく構造上の問題があるということだ。

小泉さんの目線は、日本の山林全体を見渡している。 「日本の山林には、ITで改善できることがまだまだいっぱいあります。 そのための仲間としてエンジニアがほしいし、購買層も広がってほしい。 そう思っています。」

取材:宮嵜涼志
文:芝佑樹
写真提供:株式会社Forema

●株式会社Forema

事業内容
ForemaおよびForema Proの運営。
住所
広島県広島市中区榎町4-23-2F
代表
小泉靖宜
設立
2017年8月
>コーポレートサイト

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