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お相撲さんが作った旅館。創業100年、国の有形文化財の老舗旅館が作る新たな価値とは?
山口県

お相撲さんが作った旅館。 創業100年、国の有形文化財の老舗旅館が作る新たな価値とは? 玉椿旅館

良質な温泉が湧き出る川棚温泉は、下関の奥座敷として名高い山口県の隠れた名所である。
今回の目的地は、美しい海となだらかな山に囲まれたこの川棚温泉で100年近く続く、一風変わった老舗旅館だ。

道中、忙しそうに携帯ゲームやSNSに夢中になっている高校生たちと電車に揺られる。
私はというと、車窓から見える綺麗な海や澄んだ空、静かな田園風景に見とれながら、豊かな時間を楽しんでいた。

同じ空間を共有しているが、普段過ごしている環境が違うだけで、この空間に見出す価値は全く別物になる。
物理的な距離は日常を非日常にするのだ。それが旅の醍醐味であり距離が生み出す価値である。

そんなことを思いながら、下関から40分、川棚温泉駅に到着した。

記事のポイント

  • お相撲さんが作った迷路みたいな旅館。
  • 経営で変えるものと変えないもの。
  • 100年の歴史が生み出す価値を知る。

玉椿旅館(国登録有形文化財)

大正12年創業。大阪相撲の十両力士だった山口県出身の玉椿関(藤井光太郎)が、現役引退後に、ふるさと川棚の相撲文化への貢献と地域観光の活性化のためにはじめた旅館。
創業当初は相撲一行の常宿だったそうで、双葉山、玉錦、朝潮太郎など、往年の名横綱も宿泊した。初代館主(玉椿関)が存命の時代には、新横綱が誕生するたびにその名の客間をつくっており、そんな増改築の歴史から、館内全体が迷路のような造りになっている。当時の建築技術の高さはもちろん、全体を通して建築に物語性があるということも評価され2012年に、国の登録有形文化財に指定された。

玉椿旅館HP http://tamatsubakiryokan.com/

街のみんなが愛した創業者、玉椿関

「創業者の玉椿関は私の曽祖父にあたります。34歳まで大阪相撲で活躍していて、周りのお相撲さんに比べると体格は小柄だったんですが、技で相撲を取るスタイルで、最高位は十両でした」と語るのは、この旅館の4代目女将で玉椿関のひ孫にある藤井優子さんだ。

藤井さんは最近まで福岡でフリーライターとしてローカルネタや暮らしに関する記事を書いていたが、この旅館を継ぐために2017年9月にここ、川棚に帰って来た。

「懐の深い男性で、旅館経営はとても豪快だったようです。その時代の話を聞くのは、面白いですよ。」

奥に飾ってるあるのは、創業者であり、藤井さんの曽祖父にあたる玉椿関

川棚温泉は昔と比べると観光客が減っており、旅館の経営も当然その影響を受けていた。まだまだ厳しい状況は続いてるものの、藤井さんが帰って来てからは、ホームページをリニューアルしたり、イベントを開催したりなど、徐々に良くなっている状況だ。藤井さんは若女将として、お座敷に出つつ、ライター業は現在も続けている。

玉椿旅館の情報発信について

旅館やホテルの集客といえば、楽天トラベルやじゃらんのようなOTAと言われるインターネット旅行代理店を利用して行う広告が常だが、玉椿旅館ではそういった、いわゆる予約サイトを利用した集客方法は、現在のところ実施していない。

「ライターをしていたからか、二次的な情報があまり好きではなくて、ちょっと慎重になってしまう部分があります。予約サイトで集客しようとすると、そのメディア内で比較検討されることを前提に、優位性をとるために打ち出しをシャープにすることになります。玉椿旅館の場合だと、きっと歴史のことやお相撲のこと、文化財のことになるでしょうか。そうすると、歴史があるゆえの不便などはなかなか伝わらないので、実際に訪れたときにギャップが生まれやすいんです。」

「宿泊での利用って、ランチで立ち寄るのとはまた違うので、例えば、お手洗いが和式だとか、和室の部屋に鍵がかからないとか、階段の上り下りがきついとか、そういったことが印象を左右していくんです。うちは今のところ、昔のままの形を残していて、そんなところが魅力的と言ってくださるお客さまもたくさんいらっしゃいますし、不便な部分はマンパワーで補っていくしかないんですが、露出していくとなるとやっぱり伝え方のバランスが難しいですね。今はみなさんインターネット上の情報である程度取捨選択される時代なので、入り口の段階でもある程度リアルに近い状態にしておきたいなと思って、こういうかたちをとっています。」

確かに、予約サイトでは、プラスポイントを比較検討される。そこで選ばれるために機能的な快適さや価格を追求することで、ホテルや旅館は画一化され、本来大切な旅館の歴史や情緒的な価値が伝わりづらくなっているのかもしれない。

では、玉椿旅館の来るお客さんはどうやって玉椿旅館を知って来るのだろうか。

このメディアは「地方創生」を「業界」として定着させ、そこで活躍する人を可視化し応援する為に生まれました。

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