ふるさと納税のその先へ〜宮崎県都農町の挑戦〜 Vol.1
宮崎県

ふるさと納税のその先へ〜宮崎県都農町の挑戦〜Vol.1
宮崎県都農町

宮崎県都農町(つのちょう)は、その名の通り農業が盛んな人口1万人の小さな町です。多くの自治体と同様に、高齢化・過疎化の問題はやはり深刻で、それらへの対策はまさに待ったなし。

そんな都農町が2016年にふるさと納税で50億円を超える寄付を集めて注目を集めました。そして先日(2018年1月29日)に発表された「楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー2017」では、ふるさと納税大賞を2年連続受賞するという快挙を成し遂げられました。同時に、ふるさと納税だけにとどまらず、その活動を加速させ、次々とユニークなアクションを起こしています。都農町は何を考えどこに向かって動いているのか。それを探るため、都農町の総合政策課でその現場のど真ん中で活躍されているキーマンの山本貴士さんにインタビューをさせていただきました。

宮崎県 都農町

宮崎県中部に位置し、人口は約1万人。宮崎牛の名産地の一つでもあり、ぶどうやキウイなどの果物や、トマトの栽培が盛んで、また20年前から創業するワイナリーでは、海外からも高い評価を受けたワインを製造している、食と農業の町である。
●山本貴士(やまもと たかし)さん 
宮崎県都農町総合政策課  課長補佐 兼 まちづくり推進係長
2016年に都農町のふるさと納税の納税額を50億円にまで引き上げた立役者。同町は楽天市場「ショップ・オブ・ザ・イヤー2016」、「2017」で2年連続ふるさと納税部門の大賞を受賞。

●倉重宜弘(くらしげ よしひろ) 
ネイティブ株式会社 代表取締役 / 本記事のインタビュアー

周回遅れの後追いから始まった「ふるさと納税」

倉重 まずは都農町が「ふるさと納税」に取り組まれてきた経緯をお聞きしたいのですが…。

山本 地方創生の政策は国からも色々あったんですが、それまではあまり具体的な絵が思い浮かばなかったんです。そんな中で「ふるさと納税」は、事業者をうまく巻き込んで、商品を開発すれば可能性があるんじゃないかと…。都農町は特産品でアピールしていくしか無いですからね。町の事業として着手したのは制度が始まった平成20年からです。異動前の平成26年度の寄附受入実績額は388万円でした。

倉重 その後、山本さんが関連部署に異動し、担当として直接関わられて、その直後に、主戦場に「楽天」を選ばれたそうですね。それはどういうきっかけだったんですか?

山本 ふるさとチョイスで、クレジットカード払いを導入し、そこそこ行くようになったんですが、やはり後発組ですから、いい返礼品を並べてもなかなか勝てないんですよね。そんなときに、楽天さんが始めると聞いて、思い切って賭けてみました。楽天のふるさと納税の開始当時は、参加していたのは都農町含めて10自治体くらいだったと思います

倉重 「勝てる」とか「賭ける」とか、すでに公務員っぽくないですね(笑)。それでも、「億」に行くなんて思ってましたか?

山本 いえ、全く(笑)。その年に7億でしたね。

倉重 300万円台から7億…。バックの対応も相当大変だったんじゃないですか?

山本 ノウハウも経験も、職員の人数もいなかったですから、むちゃくちゃ大変でした。(笑)。

倉重 その体制を山本さんが作られたわけですね。

山本  町長はじめ、庁舎内役場の中のみんなでやりました。生産者の皆さんも経験したことがない数の注文に対応するわけですから…。よく「官民が一体になって」って言うじゃないですか。綺麗事でなく、あのときは本当にそうだなって思うくらい、一緒に一気に走りました。

倉重 その次の年もまた7倍ですよね。50億! ECサイトでもそんなに急激な売上増はなかなか例がないと思うんですが…(笑)。

宮崎県都農町 総合政策課 山本貴士さん

山本 いろんなイベントとかPRとかやりながら、1年目は宮崎牛やお肉の加工品でやったんですけど、町民の士気があがるのを肌で感じたので、もうちょっと上を目指せるんじゃないかと。二本柱ではちょっと弱いなということでさらに3本目の返礼品を開拓して…。それもほんと飛び込みで”営業”しました。

倉重  飛び込み営業! そこまでされたんですね…いや〜。すごいなー。

山本 役所の中でもやっぱり前例がない業務なので、理解してもらうのにも時間がかかった部分も正直あります。その388万から7億にいった年末は、12月頭時点ですでに4億円ぐらいまでいってました。当然、もう何十倍にもなったんだから、このくらいでいいんじゃないか、ここまでの成果をミスなくやり遂げましょう。で、何日に閉めましょうかという話になりました。公務員の発想ですよね。

倉重 まあ、でも民間がそうしてもおかしくないくらいですけどね…汗

山本 でも当然、12/31の駆け込みが最大のチャンスなわけですから。「地元の生産者の稼げるチャンスを、私達がストップしていいんでしょうか?」って言ったら、役場内で大きな反対はありませんでした。おかげで毎年、年末年始の休みがなくなりましたけど(笑)。そのくらい意識を変えないと前に進みませんね。

倉重 むー。そういうのって本当に公務員を超えてますよね(笑)。全く違う仕事ですね。

山本 公務員って決まった仕事をするっていうイメージ強いですよね。でも自分は公務員の仕事が一番可能性があると思ってるんですよね。町のためになれば、ほんとは何やってもいいわけですから。それに惹かれてやってます。「可能性があるならやれ」と町長や課長がそういう環境を整えてくれたのが本当にやりやすかったですね。

倉重 いやー。すごい話ですね。

山本 「自分が動けばこうなるんじゃないか」というのを持てば、可能性は広がりますよね。

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