舞台は都心から福岡市郊外へ。元大手私鉄不動産マンが挑む、地方都市発、不動産の価値転換。
福岡県

舞台は都心から福岡市郊外へ。
元大手私鉄不動産マンが挑む、地方都市発、不動産の価値転換。
株式会社スマートデザインアソシエーション 鎌苅竜也さん

—「何か違うような気がして。」

そう語りはじめてくれたのは、東京の大手私鉄グループの不動産会社で首都圏の不動産開発を通じて街づくりに挑んでいた、鎌苅竜也(かまかりたつや)さん。彼は2016年からその不動産を通じて発信していく舞台を東京から遥か1,000km以上も離れた福岡市郊外の海辺の閑静な田舎町、今宿(いまじゅく)に移した。

「今飛び込まなかったら、次飛び込むチャンスがあるのだろうか?ここまで想いやメッセージを乗せて仕事を創っていける機会はないんじゃないかと感じましたね。」

そのきっかけであり、パートナーとなったのは福岡移住計画を運営する、スマートデザインアソシエーション社(以下、SDA社)。鎌苅さんの一風変わったチャレンジはどのようにして始まり、どこに向かおうとしているのか。
今、不動産を通じて地域や地方に貢献したい、地域活性ビジネスを構想したい想いをもつ人たちへも彼のメッセージと見据えている景色は一つの新しいモデルかもしれない。

株式会社スマートデザインアソシエーション

東京下北沢と福岡に拠点を置く。Web、デザインなどのクリエイティブワークを中心に創業、さらにメディアの企画制作運営を展開。福岡拠点では移住を提案するプロジェクト事業「福岡移住計画」を運営、移住者向け不動産情報提供・仲介、ワークプレイス事業などローカルからライフスタイルのイノベーションを仕掛ける新規事業を次々に立ち上げ。東京エリアとの連携も推進。2017年4月には東京にコワーキングスペースDiagonal Run Tokyoを運営開始(福岡銀行とのコラボ)。
会社Webサイト:http://s-design.jp/

記事のポイント

  • 華やかと言われる大手私鉄不動産会社の開発ビジネスから、異色の転身のきっかけ
  • 地方都市の更に郊外の街を選んだ、不動産ビジネスマンとしての確信と覚悟
  • ハコモノ、経済価値ありきではなく、「何ができるか、何をしたいか」から事業をつくる、そのアプローチ。

きっかけは渋谷でのイベント、その6ヶ月後には転身。

渋谷ヒカリエの8階。そこが鎌苅さんにとってのターニングポイントとなった場所だ。街づくりや不動産のイノベーションをテーマとしたイベントが開かれていた。そこに登壇していたのが福岡移住計画代表であり、SDA社代表の須賀さんだった。そこで意気投合し、あっという間に新しい挑戦への旅立ちを決めたと言う。そして、奥さんと揃って仕事と住まいを福岡に移した。

「元々、東京だけではない不動産、それに規模の小さいものにも興味がありました。それに業界課題も多いと感じていました。それを、望むライフスタイルの中で課題も解決し、これまでの経験も生かし新しいことができる。
規模は小さくてもそのほとんど全てに自分がタッチできることも大きいです。これだったら自分の想いも乗せて仕事が出来るんじゃないかと思いましたね。」

実はこのヒカリエ8階は、知る人ぞ知る(?)ローカル系カルチャーのあるフロア。イベントしかり、渋谷駅を見下ろす大きな窓側には、あのD&Departmentが運営する地域の食を楽しむ食堂「47食堂」。ローカルとのつながりや、きっかけが生まれる場でもあるのだ。

真逆のアプローチができる。あえてこの場所を選ぶ理由。

鎌苅さんは前職で不動産の開発に従事していた。私鉄系の不動産開発は多くの場合が、沿線の街づくりと連動していることが多い。特に鎌苅さんの所属していたグループは街づくりに古くから積極的で、住宅地からビルまで多くの開発事業で成功してきた。かの渋沢栄一が関わったというとピンとくる人も多いのではないだろうか。そんな華やかな不動産開発に従事していた彼が、都市での開発ではなく、地方都市のしかも郊外の田舎町ユニークなチャレンジや価値の機会があると確信したのは何故なのか。

「大手不動産会社であれば、この地域は選ばないでしょう。福岡であれば、天神や博多を選ぶ。それでも我々はあえてこの今宿、糸島を選ぶのは、ここで生きていくし、ここの暮らしから提案したいことがある。」

「前職にいた時に感じた違和感に、ベクトルが内向きに思える事業の仕方がありました。それは、当然会社として利益や成長をする上で必要ではあります。経済価値をまずは考え、利益を出せる土地や案件をプランニングし、開発する。でも、ここでは真逆のアプローチなんです。」

ただ新しくビルや施設を開発するのではなく、本質的に新しい価値を創っていく仕事。目的と手段で考えた時、不動産はしばしば開発自体が目的化することがある、特に都市部では開発と売却だけで単体収益が莫大だからだ。

「ここでは、社内や経済性のことは気にしつつも、どうこの場所を活かしていくかが先に来る。そこにどう経済価値を合わせていくかを考える。金勘定だけでやるのであればそれは都会で十分できること。」

そこに違和感や別の志向を持っていた鎌苅さんにとって、不動産を用いてそれ以外の価値を中心に創り出す仕事はまさに挑みたい機会。その一方で単に東京の不動産へのアンチテーゼではなく、冷静に不動産事業としての勝機や将来性も見据えている。

「東京でもここ福岡でも、基本的な不動産事業における金勘定の話は同じです。ただその桁はもちろん何桁も小さくなりますね。
不動産事業は、東京でもどこでもやることはできます。ただ普通の不動産事業ではすぐに埋もれてしまう、その差別化などができなければいけない。その点、我々は福岡で、なおかつ今宿が事業を通じて伝えやすい場所だと考えています。その結果、差別化や収益性も出していけるはずですからね。」

今宿で同社が運営する、海辺のシェアオフィス「SALT」。国内外から多くの利用者が訪れている。

ここ今宿は地元福岡ではそこまで注目されていなかったいわゆる田舎町。それでも鎌苅さんにとってこの地域の持つ可能性や魅力は、事業として十分すぎるほどの将来価値があるようだ。そして、早速新しい価値づくりへのプロジェクトが始まった。

と思ったら、予想外に東京へ舞い戻ることに。

2017年の春、鎌苅さんはなぜか東京で奮闘していた。そこは東京駅目の前の八重洲のビル、実はこのビルは福岡銀行の東京支店。同行が所有するこのビルの遊休フロアをシェアオフィス・コワーキングとして活用するプロジェクトのリーダーとして白羽の矢が立った。

「東京と福岡をつなげる場だけでなく、地域に関わる事業者が全国から集まる場にしていきたい。いろいろなビジネスが生まれつながる場所を目指しているんです。」

鎌苅さんは直近前職でシェアオフィス事業にも従事、場の消費ではなく付加価値を生む場所づくりへの想いを持っていた中でチャレンジングなプロジェクトに出会えたようだ。

「今後もこのような場所を全国・全世界に増やしていきたいと思っています。でも、私も事業としても、例えば47都道府県どこにでもあって便利でしょ?というような価値ではなくて。もっと、それぞれに個性やその意味合いがある、例えば自然環境推し、都市利便性推し、気分転換できるなどの働き方の多様性への価値です。」

プロジェクトは、福岡銀行が主体となり福岡移住計画が運営を担当する、いわゆる運営受託方式でのビジネス。同行は福岡の主力銀行として、より先進先端でホットなビジネス・事業者・起業家とのきっかけをつくるべく、このプロジェクトを旗揚げした。そこで、福岡のシェアオフィス運営で実績があり、東京にも拠点のある同社、しかもちょうどよいタイミングで(笑)参画していた不動産経験者の鎌苅さんというキーマンがマッチした。

2017年4月にDiagonal Run Tokyoダイアゴナルラン東京としてオープン

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