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[おすすめ書籍]九州バカ〜世界とつながる地元創生起業論〜村岡浩司著

2018/05/05

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自分がこの地域事業に参入して間もないころ、実は「九州」に「営業」したことがありました。2012年当時、北海道で展開し、うまくいって話題にもなった観光メディアの経験を九州でも活かせるんじゃないか、九州全体を網羅する「地域メディア」を作れるんじゃないかと思い、つてを辿ってあちこちの企業を訪問したのです。 その時に耳にした、衝撃の言葉がありました。それは「九州は、一つにはまとまらないよ」という言葉です。
はじめはどういう意味かよくわからず、しかもその言葉を発したのは、日本にDMOなどがまだなかった当時、そういう事をするのが役割だと思っていた”九州観光の公的な協会組織”のご担当者だったので、二度びっくりでした。その方は、全身から“君そんなことも知らないの?”オーラを発しながら、「あのね、九州っていうのはね、右上が長州で、下のほうが薩摩なわけ。今もね。」とか、「九州にはね、七社会というのがあってね、君の提案を動かせるのは、JR九州か、西鉄だろうけど、どっちも景気悪いから動かないだろうね〜」という話しだったと記憶しています。
その詳細はともかく、外から見ていて「九州は九州」だろうと思っていた自分にとって「一つにはまとまらないよ」というその言葉は、かなりの衝撃でした。そして当然、この安易な発想に始まる目論見は、苦くて恥ずかしい思い出となったわけです。

それからもう5年以上経って、世の中がここまで「観光」や「地方」を叫ぶようになるとは思いませんでしたが、それでもあちこち回っていると、規模の差こそあれ未だに同じような話を耳にする事はあります。そういう経験に照らして、この「九州バカ」を拝読すると、非常に強い感銘と共感を感じる点が、大きく2つありました。
一つは、村岡さんがこの「地域メディア」を、「食」を通じて成し遂げられたことです。九州パンケーキは、まさに「九州のメディア」ともいえる商品で、この成功は、かつて稚拙ながらもこの地域を一つのブランドに取りまとめることの難しさを体感したものとしては、やはり素晴らしいことだなと改めて思いました。以前にテレビ東京の「カンブリア宮殿」に出演された際も、同様の感銘をうけたのを覚えていますが、その経緯をこの著書でさらに詳しく知ることができました。九州に限らず、地域事業には、多かれ少なかれ、国とか自治体とか、伝統とか、歴史とか、重たすぎてテコでも動かなさそうな「壁」が頻繁に立ちはだかります。その中で、一貫して非常にポジティブな姿勢でそれに挑み、ここまでの成功されたことに、本当に感服します。こういう方がもっとたくさん出てくると、地方創生業界の明るい面に光が当たるだろうなと思います。誤解を恐れずに言えば、この業界には、「こういうキャラ」のヒーローがもっともっと必要です。

もう一つは、村岡さんが、地域業界を「グローバル・ビジネス」だと捉えている点です。地域の会社、地方での商売は、なぜか「ローカル・ビジネス」だと思われがちですが、そもそもローカル・ビジネスの「ローカル」とは「商圏がローカル(域内)」なのであって、所在地がローカル(地方)という意味ではありません。地域住民の為のの飲食店や小売店は当然「ローカルビジネス」ですが、とかく外国人観光客を相手にするこれからの地域事業は、その多くが本質的にグローバル・ビジネスです。村岡さんは、九州パンケーキという地域ブランド商品を、域内のみならず一気に海外展開して見せてくれました。このプロセスからも、「これからの地域事業は海外相手」だということを、明確に示してくれたと思います。考えてみれば当たり前で、そもそも人口が減るし、マーケットも縮小する国内や域内だけでは、ほとんどの事業がやっていけなくなるのは自明の理でしょう。輸出産業は日本のお家芸でしたが、これまではそれは一部の製造業に限られていました。これからは、ある意味一次産業から三次産業まで、全てグローバル展開が求められているとも言えるのです。そういう観点で読んでも、グローバル地域事業の先駆者と言える村岡さんのここまでの歩みには、様々なヒントが隠されていると思いました。

読みやすくて、4〜5時間で一気読みできます。地方創生に関わる人全てにオススメしたい著書です。自分も大いにヒントと勇気をいただきました。よろしければ是非!

文:ネイティブ倉重

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